以下は単なるフィクション小芝居なので、読み飛ばしても問題ありません
1534年9月、尼子家から侵攻を受けた三浦貞久、貞盛の兄弟は高田城に布陣し、敵を待ち構えていた。
―――高田城
「ふぅ……今宵はよく冷えるわ。尼子軍―――奴らの士気も下がっておることだろうよ」
「ふん、今ごろ震えておりましょう。この我らの地を、尼子に好きに荒らされるのは我慢なりませぬ」
「うむ。ところで、大内家は動かぬのか? 奴らが尼子の背後を攻めてくれねば、この戦、かなり厳しいが……」
「どうにも。まだ動きはないようですな。……む? 兄上、なにやら様子がおかしいぞ」
伝令「て、敵襲――!」
「敵襲……夜襲だと! 尼子経久、卑怯者め! これでも武士か!」ギリギリギリ
「はっはっは……。三浦の青二才どもは浮き足立っておるようじゃな。弱いのう、脆すぎて笑いがとまらん。クカカ……敵の悲鳴や怨嗟の声がこの老体にしみるわぃ。兵よ、小僧どもに戦の何たるかを教えてやれぃ。一気に攻めたてるのじゃ!」
ドドドドドド
「経久の騎馬隊が突っ込んでくる……当主、ここは我らが引き受けた! その間に引いてくれ」
「我ら国人を甘く見なさるな。これでも戦は得手じゃ。尼子の爺さんなど恐るるにたらんよ」
三浦軍は尼子経久の夜襲に敗れて壊滅。もはや高田城を守る力は残されていなかった。高田城は尼子軍に包囲され、落城も間近となった。
「(ったく……そもそも、尼子にさっさと降ればこんなことにならずにすんだものを)」
「もはやここまでか! 俺は腹を切る! 貞盛、お前は俺の子を連れて落ち延びろ。---五郎、お前は三浦をけん引する大器となるのだぞ」
「兄上……わかりました。じつは準備はもう整っておる。必ずや、三浦再興を果たしますぞっ」ダッ
「お、おい、五郎、貞盛……、則治……、あー行っちまった。今生の別れだというのに、えらくあっさりだな……」
「この地を見捨てることなどできませぬ。高田の主は、由緒正しき殿だけじゃけぇ」
「(この高田城で過ごした日々、懐かしく思う時がくるとは。最期に庭を眺めるとするか……。貞盛に子を託すこともできた……忠臣にも恵まれた(モブだけど)。俺の28年にはできすぎた結末よ。それでも、五郎の成長を見届けられず……この高田城を守りきれなかったこと、遺憾のきわみ)」
「そこのお前、一体どこから入ったのだ……怪しいやつめ。何をしている?」
「ひひっ、粟を、炊いておるのじゃよ。食ってみるか? まだ煮えておらんがの」
「おい……ここは俺の庭だぞ! こんな場所で粟を炊いているだと!」
「そう怒るな、三浦のご当主。ひひひ……やたらと暗い顔をしているな」
「ふん、癇に障るじじいだ。しかし間者ならばこんな阿呆なこともしないだろうな。なに、己の不甲斐なさに腹を立てておるだけよ。できるものなら、時を戻したいくらいだ。さすれば、あの尼子経久にも目にものみせてやるものを!」
「これは……なんということか……暑い……周りが一瞬にして夏の景色に……」
「お望みどおり、時を戻したのじゃ、貞久よ。こうなればもう以前とは別の世界だがのう。これからお主は三浦の名を残さねばならん。そう簡単ではあるまい。それまでは、何度でも時を戻ることになるのじゃ。三浦が何度滅亡の憂き目を見ることとなるか……見ものじゃな。儂はここで待っておる。高田城が落城するおりにふたたび会おうぞ……ひひひ」フッ
「消えた……なんなんだあやつは……? 不快な顔つきだったな」
「さ、貞盛。実は……い、いや。いやいやいや! こうなれば破れかぶれだ! 必ず尼子経久に目にもの見せるぞ! この動乱を生き延びてやる!」
しかし三浦貞久はその後、(プレイヤーの)采配ミスによって2度の滅亡を経験することとなった。
果たして、高田城主・三浦貞久は動乱を生き延びることができるのだろうか?
いつも楽しく拝読してます。
「三浦家の野望」では小芝居ないのかなーと
残念に思っていましたが、今回も読めて嬉しい。
(「大崎家の野望」における一栗高春のキャラが好き)
大内家にも顔あり家臣にも見放された(?)
かわいそうな貞久の今後を応援しています。
コメントありがとうございます!
小芝居を今回は書くか迷ったのですが、つい書いてしまいました。
こんなお言葉をいただけるとは、ありがたいことです。肩肘をはらずに読んでいただければうれしいです。
「大崎家の野望」の一栗高春は……アレでかなり崩壊したキャラになってしまいましたが、楽しんでいただけたなら幸いです(^_^;)
「三浦家の野望」では、かわいそうな貞久は頑張らなければならない呪いを強引に背負うことになりました。貞久がこの時代に活躍し、プレイリポートは完結するのか……私にもわかりませんが、ご注目ください。
読んでいただいてありがとうございますmm