以下はネタ小芝居なので、読み飛ばしても問題ありません。
伊達家を下した大崎家中では、厭戦の気配が漂っていた。戦乱にはうんざりしていたのである。大崎家には仮初めの平穏が続いた。
ある日、大崎義隆は新井田隆景を屋敷に招いた。大崎義隆には寵愛する家臣が二人おり、新井田隆景はそのうちの一人である。
「あー隆景がおると癒やされるのう。伊達政宗も捕らえたし、言うことはないわ」
(イメージ画像)「光栄です義隆さま、……ところで、天下は欲しくないのですか?」
「天下人って……隆景、もう豊臣家の天下で趨勢は決まっておる。伊達を相手にするのとは違うのだ。それに儂はもう、そろそろゆっくりしたいんだけど」
「50年前ならとにかく、時代錯誤もいいところじゃろう……それに眼前の問題もあるし」
「伊達政宗の処分を迷っておいでなのですね。あれは天下を取るために必要な者。無下にしてはなりません」
「いや、しかしなぁ。……そうじゃ。そんなことより、ほれ、そろそろ武士の作法の復習でもいたそうか」
????「大崎どの……大崎どの……」
「気がついたか。ここに来たということは、大崎どの、どうも心に迷いがあるようじゃな」
「あなたは……うぅっ……なんと高貴な雰囲気をまとった方だ。しかもどことなく儂と同じ匂いを感じる……」
「ふふふ……そなたを迷いより解放するため、これよりそなたが伊達政宗を斬った場合の未来を見せてしんぜよう」
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「その通り、俺は独眼竜政宗! 政宗は独りにあらず。人の心の数だけ我々は居るのだ。小物の貴様とはネームバリューが違うのだよ。たとえ死しても、皆の心に残るものと心得よ」
「そいつは独眼竜の中でも最弱。刮目せよ! 俺たちが独眼竜だ!」
ゾロゾロ
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「それにしても、新井田隆景はよいのう。隆景という名前もなかなか愛い。大切にするとよい。だが、愛は時に身を滅ぼすこともあるゆえ、こころしておくのだぞ」
「待ってくだされ! まだ聞きたいことが……貴方は一体……?」
「私は大内義隆。そなたとは一字違いだから何となく引っ張りだされただけの、しがない西国大名の一人じゃよ」
「(ふふ……家中で寵愛を受けるのはこの私。もし義隆さまが天下をとれば、相当な権力を得ることができる……)」
後日。大崎家中で伊達政宗の処分についての会議が行われた。
「いや、斬ったら斬ったでかえって混乱が起こるぞ。斬るべきではない」
やいのやいのやいの
「―――やっぱりまとまらんのう。高春、放牛は何か申しておらんかったのか」
「うるさい爺も、こうして床に伏したところを見ていると、寂しいものだなぁ」
「う……高春、そこにおるな。儂は、もう逝く。殿にお伝えするのじゃぁ。名声とは、諸行無常の虚しきもの。なれど欲するならそれは、勝者のもんじゃ。我々の苦労を水泡としてはならぬ。これからは政治の戦いとなろう。必ずお勝ちなされ、と。それと……伊達政宗は……災いの種じゃ。密かに消し、伊達当主には弟の小次郎を据えるよう仕向けるべし、と。
---しかし、あの情けなかった義隆の小僧が伊達政宗を下すとは……。痛快じゃぁ。突っ◯すんじゃぁ、か。ふ、くくくくく……言ってみるもんじゃな。よき冥土の土産となったわ---」
医者「ご臨終です」
「ええと(いかん、ボソボソ言ってたし長すぎて爺が何を言っていたか忘れたぞ)。いやぁ、ははは、草葉の陰より大崎家をお見守りするというようなことを申しておりましたゾ」
「そういえば、殿は情けない小僧、とも。あれ、これ言っていいのかな」
「放牛が儂を情けない小僧と……。儂が情けないままの大崎義隆と言われては、放牛も浮かばれまい。―――政宗は斬らぬ。大崎家の駒とするのだ。そうじゃ! これより儂が目指すのは、奥州探題・大崎家の復権ではない、天下人の大崎義隆よ!」
―――利府城。
「元気そうだな、政宗。単刀直入に言おう。豊臣家に一泡吹かせたい。過去のことは水に流し、儂に手を貸してはくれぬか」
「ククク……冗談がすぎるわ。片腹痛い……そもそも……この独眼竜が……この竜が……仕えるとでも思うておるのか……貴様のごとき張り子の虎に……!」
「小十郎も成実も、この儂に忠誠を誓った。貴様の助命を嘆願しておったぞ。その忠義に報いようとは思わんのか?」
「『痛ければ痛くないと言え、悲しければ笑え、暑ければ寒いと言え』……と虎哉和尚より教えを受けたこと、伝え聞いておる。今笑っておるということは、悲しい、悔しいということだろう(ドヤッ)」
「…………か、悲しくなどない……グスッ。しようがないわ。心中では笑えて笑えて……涙が止まらん……グズッ」
「(ふぅ。伊達政宗、こうして窮地に立てば意外と単純な男よ。あの分では大崎家に降るのも時間の問題だろう)」
「(ふん……言葉を額面通りとらえおって義隆の阿呆め……。しかも、まんまと騙されおったわ……この見事な独眼演技に……。全ては茶番……もとより無いわ……死ぬつもりなど……。ククク……いつか寝首をかいてやる……この俺自らの手でなぁ……!) フハ、フハハハハッ!!」
その後、伊達政宗は大崎家に臣従し、大崎家はわりとガタガタの家中で天下を狙うこととなったのであった。
楽しく拝見しています。
今回の小芝居、いつにもまして手がこんでいるような。本編を簡潔にされた反動でしょうか。
コメントありがとうございます! 書いている人です。
実は前回のプレイ終了後にも小芝居を入れるつもりだったのですが、投稿できなかったんです。それで、この小芝居は前回分と今回分を合わせて2つ分となったので、ちょっと手がこんでいるのです。(返答に的外れがあったので一部削除しました)
楽しんでいただいているということで、ありがとうございますm(_ _)m
おお、本編を読み返してみると攻略の過程が大分簡潔でしたね。そのご指摘でしたら、反動です!