【大崎家の野望の小芝居】大崎義隆、立つ

以下は単なる小芝居なので、読み飛ばしても問題ありません。

 

 


 

1586年11月、秋の虫も寝静まる丑三つ時。なにやら心がざわついて眠れない南条隆信は、城下を歩いて気を紛らしていたが、そこで不思議な音を耳にした。

 

カコーン……カコーン……

 

nanjo「……? 何だ?」

 

 

?「人を呪わば穴ふたつ……。うらめしやーうらめしやー。なむなむ。キエェェー! 呪われろぉー伊達政宗ぇー! 葛西晴信ぅー!」ドコドコドコドコ

 

nanjo「(うわっ、やばいモノを見てしまった)」ガサッ

 

?「誰だ!」

 

nanjo「その声は……殿?」

oosaki_yoshi「たた、た、隆信か! お主、こんなところで何をしておるのだ」

nanjo「いや、妙な音を聞いたもので。そもそもここは我が城下なのですが。殿こそ、どうされたのですか」

oosaki_yoshi「……いや、良き霊場を探していたらここに辿り着いたのだ」

 

 

nanjo「丑の刻参りなど、大崎家の主がすることではありませんよ」

oosaki_yoshi「しかし……しかしな、なぜにこの世は儂の思った通りにならんのだ……。やることなすこと裏目に出てしまう。あまりにもひどすぎるではないか。このままでは後世に名を残すこともできぬ。なぜ名門である大崎家の儂ではなく、伊達政宗ばかりが目立っているのだ! あぁ、とても耐えられぬわ」

nanjo「殿……世の中というものはそういうものです。我々は、大木の間にひっそりと佇む(朽ちかけの)可憐な華なのです。それ以上を望んでも、不幸な結果を生むだけですよ」

oosaki_yoshi「いやじゃ! 伊達に従わなければ生きてゆけぬ、こんな世界はもう真っ平じゃ! 儂も目立ちたいよー! そして寵童を囲って(ピー音)」

nanjo「(やれやれ。大崎家の行く末が心配だ)……では、家臣の中で長老の一栗放牛殿に相談に行きましょう。あの方ならば、何か良案が浮かぶかもしれませぬ」

 


 

 

一栗放牛の居城・一栗城。

 

oosaki_yoshi「……」

 

 

 

 

ichikuri_jiji(87)「やるべし! 伊達ぇ、突っ◯すだよ」

oosaki_yoshi「!? 放牛、今、なんと申した」

 

 

ichikuri_jiji「伊達政宗ぇ突っ◯すだ。二度と大崎領に来ねぇように伊達衆みんな突っ◯すだよ!」

 

nanjo「(しまった、あの放牛殿がこれほど衰えているとは……) 殿、どうやら放牛殿は体調がすぐれぬ様子、次は―――」

 

oosaki_yoshi「ふむ。やはり夜な夜な呪うだけではダメか……。よく言うた、よく言うたぞ放牛! 伊達政宗、突っ◯しはせぬが、必ずや我が前に屈服させてやるわ!」

nanjo「えっ!?」

ichikuri_jiji「突っ◯すんじゃぁ……」

 

 

ichikuri_taka「申し訳ない。祖父は最近、軍記『七人のサムライたち』にご執心でしてな。多少アレも始まっておるゆえ、調子の悪き時などはこのようになってしまうのだ」

nanjo「(先に言えよ……)」

 

 

oosaki_yoshi「大崎家中が結束すれば葛西や伊達などは恐るるにたらず! 我々の力を見せつけてやるのだ。そして……我が大崎の名を全国に知らしめるのだ!」

 


 

その後、大崎家当主・大崎義隆は伊達家へ絶縁を告げる書状を送りつけた。これにより、大崎家は引くに引けない状況となったのである。

大崎家による反撃の胎動とは、大崎義隆の怨念そのものだったのだ。

※当たり前ですがフィクションです。

 

 


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